詰らん意地は蛇の足。

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午後の授業内容は全く頭に入ってこなかった。 毎度の如く、腹を満たし眠気がピークになった頃合いに聞こえてくる教師の子守歌は、穏やかに夢の中へと誘ってくれた。ちなみに珍しく席に着いた喜一も、授業が始まってから直ぐに爆睡していた。何しに来たんだお前は…。 「卯月尊。ちょっと来な!」 ー―キタ。 帰りのHLを終え、後は寮へ帰るだけかと教室を出た途端にこれだ。 拒否権など無いとばかりに小柄な生徒三人が睨み上げる。正直怖くない。 しかしどの生徒も童顔な美少年だ、これはもう9割方親衛隊で間違いないだろう。 力で負けることはないだろうが、抵抗すると後々厄介なことになりそうなので、俺は潔く首を縦に振った。 「ああ、行こうか」 「えっ」 「アホなのアンタ!?」 「ちょっとは迷いなさいよ!」 素直に従うとは思っていなかったのか、何やら焦りながらゴチャゴチャ言っている小柄トリオを引き連れ体育館裏へ。 裏庭よりも人通りが少なく人目に付きにくいこの場所は、格好のイジメ&リンチスポットである。 「ちょっと、こんな所に連れ出してどういうつもり!?」 「エッチなこと考えてんでしょ!」 「いやあーっ破廉恥!」 「…あれ、俺に用があるんじゃなかったっけ?」 姦しい三人組が一斉に吠えれば注目を浴びること間違いなしだったので場所を移したわけだけど…俺は何か間違っていただろうか。 それにしてもこの甲高い声、ノリの良さ、どこかで……はっ!もしやあの時の! 「食物繊維豊富トリオ!」 「「「はあああっ!?」」」 人差し指で指したその先には素っ頓狂な声を上げる童顔美少年ズ―小豆、納豆、豆腐(俺命名)―がいた。
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