詰らん意地は蛇の足。

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「ちょっと!どこ落としてんの!?ちゃんと投げなさいよ!この平凡!」 「今のは俺のせいじゃないっ!小豆が急にドリブルするからだろ!?」 「ふんっ、そんな変な所に落ちてるバナナの皮になんかに引っかかるわけ―」 「あっ、やば!」 「ぎゃーっ嘘!ちょっと納豆しっかりしてよ!!?」 「何であんたまで納豆呼び!?」 豆腐と納豆が軽い言い争いを始めるがその目は画面から外れない。 そう、俺は自室で小柄トリオと仲良く(?)マリカーをしていた。 「あーっ、もうダメじゃん!何で勝てないの!平凡ゲーム強すぎ!」 「ね、ちょっと平凡貸してよっ」 「や、やだよ!」 「小豆ずるい!僕も一回は勝ちたい!そのためには平凡とペアにならなきゃなの!」 「いーやーだー」 ……まさか自分がこんな美少年ズに取り合いされる日がこようとは。 どうにも結構な負けず嫌いらしい。戦力を得ようと必死だ。みんな小柄なので何だかチワワにじゃれつかれているようで和む。 そんなこんなで気が抜けていた。油断していた。だからぽろりと零してしまったのだ。 「こんな可愛い三人衆に慕われて会長様、羨ましいなぁ」 本音だった。 思い込み激しいし姦しいし、甲高い声は頭が痛くなるけど、何故か今はもう邪気の無い彼らと一緒にいるとほっこりする。 こうやって旭や喜一以外の生徒と遊んだのっていつ以来だろ。…ああダメだ、悲しくなるから考えるのはやめよう。 なんてことを思っていると何を勘違いしたのやら三人は騒ぎ出した。 「ぼっ、僕らは親衛隊だから!そういうのじゃないから!」 「誤解しないでよね!会長様の幸せが僕らの幸せなんだからね!」 「僕らが可愛いからって自分の気持ち殺してまで身を引こうだなんて考え許さないんだからねーーっ!?」 ごめん、わけがわからないよ。 そういえば、さっきも復縁だとか恐ろしいこと言ってたけど強引に流しちゃったもんな。その先を聞いてはいけないような気がして。聞き間違えであることを願って。 それでも今、キャンキャン吠えるチワワに頭を抱えた。 ……誤解を解いておいた方が、得策だろうか。今後のことを考えれば。 廊下でそんなことを大声で話された日には俺は死亡決定だ。 でもこいつら人の話聞かないしなあ……。 「誤解だ」 「その言葉そのまま返す!」 瞬殺である。
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