詰らん意地は蛇の足。

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どうしたものか。 困り果てていたそんな時、開錠の音が聞こえ、玄関の扉が開いた。 まさか最近顔を合わせてない旭が帰ってきたのだろうか。いや、同室者の旭以外ありえないのだけれど。 ふと、昼の光景を思い出して胸の辺りがもやっとした。 「えっ!うそ、何で―」 来栖様……!? 三人同時になって呼ばれた名には聞き覚えがあった。 いやまさかそんなと呆けながら振り向くと、やはりそこにはつい昼間に遭遇したばかりの史の姿があった。 「よっ。てか何だよその顔?笑える」 「いやいやいや何勝手に入って来てんの?不法侵入だよね?」 「ママ。俺とお前の仲なんだから、こんぐらい許せよ」 「いや意味わからんし…というか、豆達の前で誤解を生む発言は止めろ!」 「は?豆達?…お前それ安直すぎじゃん?」 人の気も知らないで小柄トリオを見下ろしながら軽やかに笑う史に軽く殺意を覚えつつ、俺は弁解すべきために思い込みの激しい小柄トリオに向き直った。 しかし三人は頬を紅潮させぼんやりした表情で俺の背後、つまり史を見上げたまま動かない。 「伝説の書記様……」 「うわあ、どうしよう初めてこんな間近で見ちゃった…!」 「お顔を拝見するのは就任式以来だよ…!」 就任式以来だと!?お前普段どんだけ引き籠ってんの!? ばっと史に顔を向けると奴はお茶目に舌を出して照れ笑いをしていた。シネ。 「ちょっと尊に話あるんだけど、いい?」 首を傾けた史に、三人は仲良く揃ってぶんぶんと首を縦に振る。 俺にとっちゃ残念なゲーマーだという認識しかなかったけど、そういえばコイツも俗にいう美形ってやつだったな。 まあ、生徒会役員なんだから当然っちゃ当然なんだろうが。…それですんなり納得してしまう辺り、大分この学園に毒されているのが分かってげんなりした。 すれ違い様に俺に向けられた目は「後でじっくり聞かせてもらうからな」と語っていた。 間違いない。それにしても無駄に目力のある豆達である。大きいから余計に。 ぱたぱたと可愛らしく駆けていった後にパタン、と扉が閉まる音。 それを聞き届けた赤眼鏡の奴は、頬を赤らめながら俺を見ると色っぽく囁く。 「やっと…二人きりになれたな…」 今度こそ俺は鉄拳を下したのだった。
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