詰らん意地は蛇の足。

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「さあって!今日は何を食べよっかな~!」 相変わらず賑やかな食堂でもしっかりと響く笹原の声は、心底楽しそうに弾んでいた。 「卯月は?」 笹原の隣で俺の向かいに座る波風が訪ねてきたので、俺は注文する物を読み上げる。 「特上デカ盛りプリンにシェフの気まぐれデザート、ふんわりシフォンケーキ、特製キャロットゼリー、それからイチゴの…」 「ヤメロ気持ち悪ィ」 途中で隣から邪魔が入った。肩を竦めて見せると、恐ろしいこと。能都は嫌悪感丸出しの表情で俺を睨んでいた。 もしや甘味が嫌いなのだろうか。信じられない……。 「何だよその顔。やんのかゴルァ」 「……遠慮してオキマス」 どうしてそうもキレやすいのか。ビシビシと隣からのキツイ視線を感じながら俺はパネルをタッチ、タッチ、タッチ……。 その間にも笹原がワイワイと一人で盛り上がり、波風がそれを相手し、能都は携帯を取り出し弄っていた。 なんか。 なんだか…… 「……ンネ」 「ア?」 能都が怪訝そうに此方に目を向けた所で、タイミング良く頼んだ料理が運ばれてきた。 「いただきまーす!!」 元気良く両手を合わせた笹原はチャーハンを食らい始める。 「そういやむぐっ、次の授業って、もご、何だっけ?」 「ゆっくり食べないと喉に詰まるぞ? そんで、次の授業は経済」 「あっ、その海老天いいな!」 「ア? 食うか?」 「いいのかっ!?サンキュー!」 目の前の光景を眺めてプリンをスプーンで軽く突いた俺は、ひっそりと溜息を吐いた。 ……なんか、ツマンネ。
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