詰らん意地は蛇の足。

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特に何事も無く食事を終えた俺は何とか三人と別れ、屋上に居た。 さて、どうしたものか。 休み時間はまだ後二十分程度も残っている。 ……あれ。もしかすると休み時間を長く感じたのは初めてかもしれない。以前の俺はどうしてたっけか。 確か、旭と喜一とくだらない話をして過ごしていたはずだ。水曜のみ風紀室に行くから例外だけれども。 というか、昼休みの過ごし方って他に何がある? 読書……はありえない。無理。羅列が並んでいる時点でもう無理。 昼寝も良いけれど、一度眠りにつくと寝起きが悪いため教師に暴行してしまう恐れがある。除外。 まあ、一般的には友達と喋ったりして過ごすよな。 ん……? アレ、待てよ? 喜一は幼馴染だから置いておいて、旭以外に… 「俺、友達なんていたっけ……?」 「その時、言い知れぬ空虚感と絶望感が少年の胸を覆いました……」 「!?」 どういうことか後ろから聞こえてきたモノローグ的台詞に目を見開き、振り返ってみると。 「史!」 「よー、久し振り」 久し振りに目にした見知った顔。生徒会書記の来栖高史が、手をひらひらと振り屋上入り口付近に佇んでいた。
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