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嫌なことは立て続けに起こるものだ。
やっとの思いでたどり着いた学校は転校生の話でもちきりだった。
可愛らしい女の子だったと職員室に盗み見に行った男子が騒いでいる。
春樹はというと、もうすぐ期末テストだというのにこんな貴重な時間を噂話に費やせるかといったように英語の教科書を開いていた。
次のテストで前回の三十点という点数を上回らなければ補習が待っているのだ。
しかしそんな事をしらない友人たちは机の周りに輪を描くように集まってきたのである。
ヒョイと取り上げられる教科書。
それと共に、ニィと笑みを見せ近づくのは親友とも呼べる間柄の木本純(キモトジュン)だった。
「なあ、春樹はどう思う?」
「転校生の事か?」
「見る限りあれは他の女子とは違う。まず幼い顔つき、これだ。それに介護欲が湧くような仕草。これはやはりこの学校のアイドルになる事間違いなしだ!」
「そうか、じゃあマドンナ交代かな」
チラリと窓際の席に目をやった。
そこに座っているのは現在のマドンナ、浅木奈津子(アサキナツコ)だった。
毎朝一番に学校に来て授業が始まるまで黙々と読書を続ける彼女は、あまり他人と喋ったりはしない。
綺麗な黒髪とミステリアスな雰囲気が男女共に評価され、この学校のマドンナという地位を築いているのであった。
因みに自分も彼女を好いていることを春樹は自覚していた。
「あ」
一瞬目が合うが、すぐに逸らされた。
なかなかショックなことである。
それからホームルームが始まるまでの間、永遠と転校生の話を聞かされた春樹だった。
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