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ブオンッと空気を切る音が、しゃがんだすぐ上から聞こえた。
パニックを起こしそうになるのを必死に耐え、春樹は少女をギッと睨みつけた。
「いっきなり何しやがるんだ!」
「それはこっちのセリフですぅ!こんなに長く生きやがってぇ!」
「まだ16年だけど!?」
少女はキャンキャンと叫びながら鎌を宛てもなく振り回している。
危ないからやめろと言いたいが、それによって自分が犠牲になるつもりはない。
早々にその場を立ち去ろうと回れ右をした。
しかし前に進もうとした瞬間、喉元に鎌がこんにちは。
逃走は失敗に終わった。
「一体何なんですか?生きているとか、死ぬ筈だったとか。何かそっち系の勧誘ならお断りなんだけど」
「か、勧誘なんかじゃありません!私は立派に任務を遂行中なのです!」
「へえ、どんな?」
「あなたの魂を狩り、無事に審判の間にお連れする事です!」
えへん、と無いに等しい胸を張る少女を殴りたくなった。
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