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実話≠人形
どうも人形が苦手だ。幼い頃に親に買ってもらった着せ替え人形は、切っても切っても本体よりも長く髪がのび、ある日突然居なくなった。
親が捨てたのだと思ったら、否定され、同じく幼い頃に祖母に買ってもらった仕掛け付き西洋人形は、仕掛けを作動させていないのに勝手に瞬きを繰り返し、この人形もある日突然居なくなった。
祖父は工芸品を集める趣味が有り、とくにこけしをよく集めていて、一間の半分をこけしで埋め尽くす程の収集ぶりであった。
その中に一体だけどうにも私には不気味なこけしが有り、祖父が自慢がてらに私に見せると、私はひきつけに似た症状を出しながら大泣きしていたらしい。
らしいと言うのも記憶が無い。祖父が手に持った迄は曖昧ながら記憶に有るが、それ以降は本当にプツリと記憶が消えている。
後に祖父の知人に変わった趣味の人が居り、その知人に私が泣いたこけしを見せたところ「確かにこけしだけれど、お土産にして良いものではなく、これは燃やすか寺に預けるもの」と言われたらしい。
そんな体験をしている所為かどうも人形は苦手だ。一応言っておくが、私は幽霊を見る事は無いし、変な声を聞く事も無い。まして触れる事など出来ないので所謂霊感と呼ばれているものは無い。
「妙に勘が良い」や「変な体験してるね」と言われる事は度々有るが、それは偶然か、経験から何となく思い付くものでしか無いと思っている。
それ等を踏まえたうえでの話なのですが、中学時代からの友人に人形愛好家が居る。私が人形が苦手なのを知っているので友人は人形について話さないし、好きなモノの共通点が多いので、それなりに仲が良い。
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