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綾瀬は嬉々とした顔で水塩や血蘇水を投げつけている。
「よし。消えた!今のうちに帰るぞ。」
半信半疑だけれど、綾瀬の達成感を感じた顔を見ていると俺もそんな気がしてきたので走って逃げた。
家に入る前に塩を全身にかけ、自室より先に浴室に向かう。
丁子と紫蘇と松の葉、それに酒を入れて煮詰めた液体を風呂に入れて体を洗う。
俺なりの清め方だ。サイトを運営しだした頃は幽霊なんて居るのか居ないのかよく分からなかったけど、今日の体験を思い返すと改めてオカルトって有るんだなぁと思った。
いつもなら入念に話し合ってから体験談を載せるけど、綾瀬のあの興奮ぶりを見ると今頃勝手にサイト更新をしているだろう。
タオルで体を拭いて新しい服に着替える。
さっきまで着ていた服には酒をかけて洗濯機に突っ込む。
PCをつけるのも面倒だったので携帯からサイトにアクセスをしてみる。レイアウトは崩れるけど、見れない事も無い。
予想通り更新されていた。
そこには綾瀬の興奮さめやらぬ感が溢れてる体験談が載っていた。
掲示板の動きもなかなか良い。
更新ボタンを押すと、例の常連さんからの書き込みが出て来た。
―――
題名:ね。
本当に幽霊居たでしょう^^でも、生きていても不条理に殺され、死んでからも不条理に殺され(?)るなんて少し可哀想ですね^^;
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題名:無題
Re:ね。>生きているか生きていないか・人間か人間じゃないかで、やっている事は一家惨殺の犯人とさして変わらない。
―――
俺は口ごもった。
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