家庭菜園

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家庭菜園

    娘の友達のお母さんが大っ嫌いだ。 表面上はママ友のフリをしているが、同じ空気を吸っていると思うだけで吐き気がする。 それだけ嫌いだ。とにかく嫌いだ。理由なんて無い。生理的に無理なんだろう。 今日も今日でママ友の間で流行っているらしい家庭菜園キットとかをいちいち自宅に押し掛けてまで持ってきてくれたが、本音は「迷惑」以外のなんでもない。 表面上ニコニコと笑って「ありがと~」と言っているが内心は「うちはマンションだからベランダしかないんだよ。ただでさえ狭いのに鉢植えなんて置いてられるか。」と愚痴だらけだ。 そんな私の本音を知ってか知らずか「育てやすいの選んだんだよぉ~。結構高く育つから数十センチ位になったら、どんどん収穫して食べてぇ~。」とか阿呆丸出しな口調で話している。 今、アンタが食べている菓子全部やるからはやく帰れ。とっとと帰れ。 「塩まいてやろうか」とか思うけど顔は笑顔を崩さない。 でも、長居をさせるつもりも無いので「あ、ごめ~ん。夕飯の買い出しに行かなきゃ~」とタイミングを見計らって言う。 今気付いたと言わんばかりに時計を凝視し、出来るだけ困った様に言うのがポイントだ。 そうすれば相手は大抵潔く帰る。 「あ~、本当にぃ?じゃあ、そろそろ帰るわ~。長居しちゃってごめんねぇ。」 ほら、みろ。アンタの行動なんてお見通しなんだよ。 「こっちこそごめんねぇ。あ、苗ありがとう。育ててみるね~。」 あー、もう。笑顔作り過ぎて頬が痛いわ。やっと帰ったぁ~~~…。 で、これ何よ?うちは本当にベランダが狭いんだから迷惑。棄てたいけどママ友の間で流行っているのも確かだしなぁ。 うん?苗にプレートが刺さってる。なになに? 「あッ。これ、セリなんだ。へ~…セリって家庭菜園出来るんだ。知らなかった。料理本にセリの料理なんて書かれてるかなぁ。どんどん収穫してとか言ってたから大量に採れるんだろうなぁ…。」    
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