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帝都怪談≠髑髏
歌う髑髏でやすか?洒落頭とは違う?あ、いやいや。すいやせん。すいやせん。拳をしまってくだせぇ。へぇ、へぇ。怖い。怖い。まんじゅう怖い。うわわ、本当にすいやせん。
うーん。確か昔から様々な地方にある怖い話でやんしょ?
いっく。ひっく。うん?酔っ払ってなんかいませんよ。あそこの居酒屋はね、こっそり水を混ぜてるからね。ぎょうさん呑んだ様に見えて実はそんなに…いっく。ひっく。
うー…、寒い。寒い。息を吸うと肺の底迄凍っちまいそうだ。どうでしょか、はしごなんてしやせんか?…ひっく。
しないだって?酒はいけない口かい?ひっく。そりゃ、人生の半分以上を損しちょりますよ。いっく。
酒はこの世を極楽浄土にかえてくれる素晴らしいものでさぁー、杯を酌み交わすなんて言葉があ……ああ?歌う髑髏を見なかったかって?いっく。ひっく。
そんな事突然言われましてもね、ひっく。私は耳無し芳一は何となく分かりやすが、平家物語はてんで駄目で…ひっく。ひっく。
うわわ、旦那、見てくださいよ。お月様が笑ってる。いやいや。酔っていやせんて。いやせん。いやせん。待って。待って。拳で語り合う程物分かりの良い頭してませんから。ね、殴られたら更に可哀想な頭になっちまう。ね、ね、後生ですか…いっく。ひっく。
歌うかどうかは分かりやせんが、話す髑髏なら知ってやすよ。あの路地を曲がって奥に奥に行くと荒れ地に出るんでやんすよ。
草はボーボー、狂った野犬が涎をダラダラ垂らしながら徘徊し、そんじょそこらに蜘蛛の糸が張り巡らされてまして、ここら辺の人は近付きやせんが…不思議な髑髏が有りやしてね、満月の夜にはこの世の恨み辛みを吐露するらしいですよ。
でも、ほら、今夜はお月様が笑ってやすから、その言葉は聞けないと思いやす。
うん?何ですか?…おわ、お金……え?礼だって?まともな酒を呑めだって?よ、よく分かりゃしやせんが……はぁ。
旦那、金は受け取りゃせんて。こう見えても情けをかけられる様な生き方はしてないし、話す髑髏なんて子供話ですよ。モノノケ、アヤカシなんてもんはこの世に………ありゃ?旦那、頭が無いのにどうやって話してるんですかい?
…いっく。ひっく。
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