天秤

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天秤

    ………ドッダン! 仕事から帰ってきた瞬間、変な音が庭からした。 「美沙子?今の音なんだ?ただでさえ赤ん坊の泣き声で近隣に迷惑かけてるのに……」 俺は靴を脱ぎ、ネクタイを片手で緩めながらリビング向かった。 妻の姿が無いので音の原因を確かめるべく窓を開けて庭を見ると、そこには我が子の変わり果てた姿があった。 俺は上を向く。 2階の窓は締まっているが電気がついていて明るい。 窓を締めて2階に行くと妻の美沙子は1人でニコニコと笑っていた。 (最近、育児ノイローゼ気味だったな)と思いながら携帯電話をポケットから出す。 「大丈夫だよ。美沙子。子供はいくらでも作れるけど、妻は御前だけだからね。」 俺は救急に電話をかけながら、窓を少しだけ開けた。    
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