213人が本棚に入れています
本棚に追加
天秤
………ドッダン!
仕事から帰ってきた瞬間、変な音が庭からした。
「美沙子?今の音なんだ?ただでさえ赤ん坊の泣き声で近隣に迷惑かけてるのに……」
俺は靴を脱ぎ、ネクタイを片手で緩めながらリビング向かった。
妻の姿が無いので音の原因を確かめるべく窓を開けて庭を見ると、そこには我が子の変わり果てた姿があった。
俺は上を向く。
2階の窓は締まっているが電気がついていて明るい。
窓を締めて2階に行くと妻の美沙子は1人でニコニコと笑っていた。
(最近、育児ノイローゼ気味だったな)と思いながら携帯電話をポケットから出す。
「大丈夫だよ。美沙子。子供はいくらでも作れるけど、妻は御前だけだからね。」
俺は救急に電話をかけながら、窓を少しだけ開けた。
最初のコメントを投稿しよう!