実話≠金縛り(壱)

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実話≠金縛り(壱)

    私は金縛り体質だ。睡眠の質が悪い為、脳が覚めるリズムにあわせて意識も目覚めやすいのだろう。 医学的や科学的に言わせれば、金縛りは肉体が睡眠状態で脳が覚醒し、意識が目覚めた時に起こる現象である。 私もこれで納得している。 が、医学的、科学的に納得出来ない金縛り体験が多々ある。 今回は、その内の2つを記しておこう。 誰かこの体験を医学や科学で説明出来るならば教えて欲しい。 ……正直このまま原理を知らず、この体験を引きずって生きるのが怖い。 実話≠金縛り(壱) ツィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…――……ンンンンンンンン…―――………ンンン…………。 あ、金縛りがくる。 寝ている間に耳なりがするのは金縛りが始まる合図だ。 ダ、ダダダダダ、ダダ、ダダダ、ダダダダダ、ダダダダダ、ダダダ…―…――… 鼓膜が強風に煽られ、たなびくような振動音がすると………もう私の体躯は動かない。 べつに恐怖を感じる事は無い。 両手では足りなく、両足の指を使って数えても足りないので飼い猫の指も借りようか…なんて事を考える程金縛りを体験している為、正直いちいち怖いなどと思っていられない。 逆に怒りすら覚える。 「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!」 「………シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ…。」 怒りの原因はこれだ。金縛りに遭うようになって三年目にして、幻聴が追加された。 いくら金縛りで脳がパニック状態になり、幻聴や幻覚がおこるとは言え、私は睡眠を邪魔されて迄嗤われ、呪詛のように死ねと繰り返し言われるような生き方はしていない筈だ。 むしろ脳がパニック状態なのに、この冷静さと怒りは脳のどこで処理しているのだろうか…。 怒りが沸々。 …沸々。…沸々。 ………限界値。    
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