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「しゃ、社長ッ！」
「何だね騒々し……？」
社長室になだれ込むように入ってきた一人の男。
彼の風体は一言で言えば異常であった。
何かで斬られたかのように切り裂かれた衣服、所々血が出ている。
社長は彼の風体に驚いて手に持つ新聞を後ろへと投げ捨てた。
「どうしたんだね君！」
「それが……」
社長は男に寄り添う。
男はか細い声で弱々しく言った。
「……あの゛例のもの゛が強奪されてま」
「なッ！」
銃声と共に崩れ落ちる男。
その後ろには、いつの間に現れたのか全身黒ずくめの一人の男が銃を構えていた。
「我々はアナタのプロジェクトを継ぐ者……アナタは我々を裏切った。」
黒ずくめの男が淡々と言った。
手には硝煙が高く上る銃。
どうやらこの男が社員を撃ったらしい。
社長は息絶えてしまった男を抱え、黒ずくめ達を睨み付けた。
「貴様らがやろうとしていることがもし実現すればこの世界は絶対に破滅する！
貴様らが言っている遺産というのは人を殺すことなのか！少なくとも私は違う！」
「理解できないとは……バカな奴だ。
嫌なら最初からこのプロジェクトを受けなければ良かったものを……さぁ時間だ。我々が、アナタに出来なかったことをやる。安心して眠れ。」
一つの銃声が、遠くまで響き渡った。
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