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(これでやっと死ねる…)
短くも長くもない髪を持ち、綺麗な顔立ちをした少年は重い手錠をかけられ、検察に連行されながらそう考えていた。
「ありがとな……。
俺なんかの為に裁判を開いてくれて。」
少年は電灯が少ない暗い廊下を先導する検察にそう語り駆けた。
話しかけられた検察は振り向く。
「なんだお前、そんなに死にたかったのか?」
「ああ、そうだ。やっと全部終わるんだ……ハハッ」
少年は笑い、下を向く。
表情が見えなくなった少年に検察は意味がわからなくて、軽く気味悪さを覚える。
「……お前はまだ死なない、いや、死ねない。 お前のGuiltyは死刑程度で収まるものじゃない。」
検察は少年をエレベーターに入れ、そして自身も乗り込みながらそう言った。
「どういう意味だよ……。」
少年は顔を上げ、検察が何やら黒い鍵をエレベーターに差し込んで、ボタンを押す動作を眺めた。
そんな鍵を少年は見たことがなく、少し興味ありげな視線になる。
「俺からは何も言えない。
ただしこれだけは言える、お前はまだ死ねないッ!」
「うわっ!」
エレベーターのドアが開いたその瞬間、少年は突然後ろから検察に蹴られる。
少年は転がるように外へ投げ出された。
「じゃあな」
チャリンという音と共に、エレベーターのドアは閉まった。
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