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「無ッ茶苦茶こえーよオイ……」
少年はとりあえず少女に従い、結局幻覚ではなかった武器を選ぶことにした。
ブツブツ呟きながら。
「ここには古今東西、どんな武器も揃えてる。早く選べ」
有無を言わせないその言葉に、少年はへーへーと空返事する。
品定めをしながら、胸の内の疑問を少女へぶつける。
「なんで犯罪者に武器を渡す?
なぜ俺は死刑されないんだ、そんでお前は誰だよ?」
「詳しいことは扉の先の師団長に聞け。
私はユイだ、……今はそう名乗ってる……アンタ名前は?」
少年は察した。
この少女には何か、『闇の過去』を抱えているということを。
「……まぁ俺には関係無いか。
俺の名前は……捨てたさ、ぜーんぶな」
「ふ~ん……捨てた、か。
まぁいいや、邪魔して悪かった早く武器選べ」
ユイは深入りしようとはしなかった。
その時、少年の目が止まった。
「なんじゃこりゃ……随分とファンキーな武器だな」
少年が手に持ったのは、峰の部分がライフル以上の長さの銃になっている刀。
鍔の部分に弾が装填できるようで、持ち手の近くに引金のようなものがある。
スコープまでついていて、かなり本格的な武器。少年は奇抜なその武器に惹かれたようだ。
「おお、そりゃ刀銃だ。
刀をベースにロングライフルを付け、作られた兵器。出来る限り軽い材質で作ったから軽いだろ、でも強度に何の問題もない。 装填できる弾も多種多様だ、ここにある弾は大体できる。ただ生産コストが高くてな、かなり希少な武器だ、それは」
長々と刀銃について語るユイ。
少年は頷きつつ、刀銃を眺めて聞いていた。
「……気に入った。
これにする!」
「マジか。
そりゃ150万だ、出せ」
少年は差し出されたユイの目を眺め、石像の如く固まった。
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