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「少しまけろよ!」 「いくらぐらいだ?」 「……タダ?」 「死ぬか?」  カチャと拳銃を取り出すユイ。 そして彼女はため息を吐く。 「しゃーねーな……じゃあ」 「タダにしてくれんのか!」 「バァーカ。 出世払いだ、いつでも良いから払え。 頭金で10万、今月中な」  いや無理だろ……少年は考えていた。 少年は犯罪者、犯罪者に金なんて与えられない。  冷静に考えれば何故武器など選ばなくてはいけないのか、根本的な所から意味がわからなかった。 「……金なんて大丈夫なんだよ。 とりあえずソレ持ってって良いから早く先進め」  ユイはやれやれとレジ横の扉を指差す。 「師団長とかいう奴がいるんだよな?ソイツが俺を殺してくれんのか?」  刀銃専用の鞘に刀銃を収め、ソラは尋ねた。 ユイの顔が曇る。 「なんだよアンタ、死にたいの?」 「ああ。今すぐにでもな」  するとユイが拳銃を少年に向けた。 少年の黒い瞳は銃口を目の前にしても揺るがない。 「ここで私がアンタを殺してもいいのか? それだけの覚悟あるのかよ?」  ユイの言葉に、少年は余裕な笑みを浮かべる。 「むしろやってもらいたい。俺を解放してくれよ……」  少年とユイは目が合うが、お互いに離さなかった。 しばらくたってユイは銃を下ろす。 「命を無駄にする奴はキライだ……。早く師団長に会いに行きなさい……すぐに、ね」
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