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僕は一度ディスプレイから目線を動かし、自分の腕へと目をやる。
紫色に腫れあがった腕、煙草を押しつけられてできた痛々しい火傷の痕。
それらを見ているだけで腹が立つ。
何もかも暴力で威圧する奴らも、一人弱いものを作っておいて、それを安全な場所から無関心を装って眺めている奴らも、それから、何も抵抗できない僕自身にも。
何度か親に相談しようとした事があった。
でも、それはできない。
僕の両親は教師だ、長男である僕に多大な期待を押しつけている。
これまで、その期待に応える為に勉強して勉強して勉強して、やっと有名な大学に手が届く学力を身につけたんだ。
それを今さら、虐められているなんて打ち明けて、両親を失望させたくなんかない。
それから、自殺しようなんて馬鹿な事は、一度も考えた事がない。
暴力をふるうような馬鹿な奴らが死ぬならともかく、なんで僕が死ななくちゃならない、それだけは絶対に嫌だ。
だから……と言ってしまっていいのかどうかわからないが、偶然見つけたこんなサイトでストレスを発散してやろうという安易な発想に至ってしまったのだろう。
再びディスプレイに視線を戻し、マウスを動かしてカーソルを『殺害』ボタンの上に持っていく。
「死ね」
僕は一言だけ呟いて、それから憎しみをこめて『殺害』ボタンをクリックした。
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