殺人メーカー

２

見慣れた、というか最早見飽きたチャットルームの入室ボタンをクリックする。
このチャットルームは、僕が通う高校の裏サイト(学生が勝手に運営していて、高校内の様々な噂や情報が書き込まれるサイトだ)にリンクが貼られているチャットルームだ。

いくつも部屋があって、その中の一つを選んで入室、その部屋にいた人とチャットをするというシステムになっている。
高校の裏サイトということもあり、チャットルームにいるのは必然的に同じ高校の学生のみとなる。
よほどの変わり者が学生を装って紛れ込んでいる可能性が無いとは言い切れないけど。

裏サイトができた当初はこのチャットルームもにぎわってはいたのだけれど、学生というのは飽きやすいもので、あっという間に裏サイト自体も、そしてこのチャットルームも廃れてしまった。
今では、僕が決まって入室する三番目の部屋にいるチャットメンバーくらいしか、このチャットを利用している人間はいない。

学校ではいじめられていて、一部の生徒としか会話もしないだけに、なんというか……人との繋がり的なものに疎くなってしまう。
それが嫌なのかは自分でもわからないけれど、チャットルームが廃れてからも僕は好んでここを利用しているというわけだ。

かかしさんが入室しました。

かかし：こんばんは。

カイ：お、かかしっちこんばんはー。
なんか久しぶり？

かかし：そうかな。
あ、でも二週間ぶりくらいか。

ネル：お久しぶりです。

かかし：ネルさんも来てたんですね、こんばんは。