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「「っ!!エイダ!」」
傷だらけの少年と傷はないもののただ立ち尽くし守られている少年は、その吐かれた血の色に顔色を変えた。
鮮やかなその色は、内臓が傷つけられたためのものだと気がついたのだ。
「……だ、大……丈夫……」
少女――エイダは気丈にも応えたが、既に息をするのもやっとなのは、誰の目にも明らかだ。
「――っ!」
そんなエイダに気をとられた傷だらけの少年は、自分へと向かう鋭い鉤づめに辛うじて気がつき、慌てその身を捻り、紙一重の差で避けた。
転がり避けたものの、立っているのがやっとだったその体は、既に本人の指示に従うことを拒否していた。
そして、追い打ちをかけるように、新たな攻撃が少年へと仕掛けられようとしていた。
「アルト!」
ただ一人無事な少年が悲痛な叫び声を上げた。
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