第8章 ふたたびソラへ

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「ああ、がんばろう」 正面の水平線から太陽が昇ってきた。しかし背後では、島から天高く黒煙が立ち昇っていた。 慣例上、先に発艦したティム隊の2機から着艦した。 メルトの機体は着艦後、すぐに消化剤がかけられて甲板の端へ移動させられた。 ツカサの機体は着艦後、格納庫へ下ろされた。 格納庫の奥で駐機し、エンジンを停止させている時に頭上で爆音が轟いた。 スカル小隊が帰ってきた。 ツカサは狭いコックピットの中で長い溜息をついた。 周りから聞こえる騒音や話し声は耳鳴りのように遠くから聞こえた。 島の惨状は見ていない。 だが心の中には焼けただれた大地が広がっていた。 あの時歩いたジャングルも、泉も、動植物も、皆死んだ。 自分達、いや自分が作戦を失敗したことで全てが灰になった。
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