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ツカサは操縦桿を左に倒し、水平飛行から降下しつつ離れた。
警報は消え、振り返ると、敵機は3番機について行っている。
「中尉、敵機がそちらに!」
「クソっ、今日の貧乏クジは俺かよ」
「すぐに助けます」
機体を反転させると、エンジンを最大出力まで押し上げた。
旋回時は、エンジンノズルを両方上へ向ける。だから、旋回能力は著しく良かった。
敵機の先頭は3番機の回避行動にぴったりくっついている。そして距離を縮めていった。
敵機の機首がきらめき、紅い残像を残して、敵の機銃弾が3番機に吸い込まれるようにして命中した。
3番機は爆発。
ベイルアウト(脱出)は確認できなかった。
ツカサは胃が握りしめられる感覚がした。
「フォーよりワンへ。ジャクソンが落とされました。ベイルアウトは確認できず」
悲しんでいる暇はない。今はただ、戦うことに集中するしかない。
「ツカサ、状況は不利だ。撤退するぞ」
「ネガティブ。このまま逃げてもどうせ食われます」
「そうか……。ツカサ、死ぬなよ」
「分かりました」
ツカサは操縦桿を握りしめた。
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