3rd Love

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私たちは伊織の家に向かっている途中で、他愛のない話で盛り上がっていた。 「伊織…?」 後ろから伊織の名前を呼ぶ声が聞こえた。 振り向くと1人の女性がいた。 「紅(コウ)…」 「伊織…伊織なのね!?」 女性は目に涙を溜めながらこっちに向かって歩いてきた。 当の本人、伊織はどこか一点だけを見つめている。 『伊織、しっかりしてよ!!』 その瞬間、紅と呼ばれる女性が伊織に抱きついた。 伊織は紅さんを抱きしめようともせず、紅さんから離れようともせずに、ただただ一点を見つめているだけだった。 『伊織…?』 私は何故かその場から逃げ去ってしまった。 しばらく経って、後ろから伊織が私の名前を呼ぶ声が聞こえても、立ち止まることなく走り続けた。 伊織はあの時、嬉しかった? 嬉しかったなら良かったね――
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