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少年の視界は真っ赤に燃えていた。
辺りは熱気に包まれ、木々は燃え盛り、火を恐れて動物たちは逃げ惑い鳴き叫んでいる。
少年には理解が出来なかった。
だってここはほんの数分前まで普通の森だった。
涼しいそよ風が髪を撫でるように吹き、 森の木々が静かにざわめき、動物たちが穏やかに暮らしていた。
そんなどこにでもある、けど少年が大好きな森がそこにはあるはずなのに……あったはずなのにっ……
「………!先生!みんな!」
少年は変わり果てていく森を見て驚愕していたが、何かを思い出したように急に走り出した。
走るなか火の粉が服や皮膚を焼き、焦がしたが少年は全く気にせず走り続けていた。
そんな事より少年は他の事を考えている。
自分の大事な人たちを、唯一の家族の事を…。
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