終わり、そして始まり

2/7
71人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
少年の視界は真っ赤に燃えていた。 辺りは熱気に包まれ、木々は燃え盛り、火を恐れて動物たちは逃げ惑い鳴き叫んでいる。 少年には理解が出来なかった。 だってここはほんの数分前まで普通の森だった。 涼しいそよ風が髪を撫でるように吹き、 森の木々が静かにざわめき、動物たちが穏やかに暮らしていた。 そんなどこにでもある、けど少年が大好きな森がそこにはあるはずなのに……あったはずなのにっ…… 「………!先生!みんな!」 少年は変わり果てていく森を見て驚愕していたが、何かを思い出したように急に走り出した。 走るなか火の粉が服や皮膚を焼き、焦がしたが少年は全く気にせず走り続けていた。 そんな事より少年は他の事を考えている。 自分の大事な人たちを、唯一の家族の事を…。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!