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不意に少年は足を止めた。
少年が足を止めた少し先には小さいが二階建てのログハウスがある。周りには木々は無く、少し開けた場所の真ん中に建っている。
「はぁ…はぁ…良かった、燃えてない」
ずっと走っていたせいで息が上がっているが少年は安堵していた。
自分の…自分たちの家が無事だ。
ならばみんなも無事かもしれない。
先ほどまでの緊迫した顔が少し緩み、家へと駆け出した。
すると家の扉がガチャと音をたてゆっくりと扉が開いた。
そこには今走っている少年と変わらないぐらいの少年と、後ろにまた同じくらいの少女が出てきた。二人とも少し俯いているので表情はわからない。
走る少年は二人に気ずき、良かった、無事だったと思いながら、
「おーい!エルッ!?」
出てきた少年…エルクを呼ぼうとしたが途中で止めた。
いや、驚きのあまり言葉が詰まってしまった。
それと一緒に足も止まり、表情が強張る。
すると今の声に気ずいたのか、エルクが顔を上げた。
目の前にいる少年を見て一瞬だけ驚きの顔を見せ、今度はいつも少年たちに見せる少し大人びた微笑みを浮かべる。
「どうかしましたかアルバ?」
エルクは目の前にいる少年、アルバに話かけた。
「………」
しかしアルバは何も答えない。
否、驚きのあまり言葉がでない。
それは仕方ないかもしれない。
何故ならエルクの服は………
血で染まっていたから………
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