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5分が経ち、屋上全体がいい感じに焦げている中で、アルバに魔術を打ち続けたフィリアはぜぇぜぇと肩で息をしている。
そして五分間の火炎地獄を受け続けたアルバはと言うと………
「シャレにならないと言っただろう。お前は加減と言うものをしたらどうだ」
全くの無傷だった。
「ベンチなんてただの炭になってるじゃないか。全く、何をそんなにイライラして…「あんたのせいでしょうが!!!」
ほとんどの魔力を使いきっているフィリアだが、怒鳴るほどの元気があるのでまだ大丈夫そうだ。
並の人なら魔力切れでとっくの昔に倒れている。
「なんだ?八つ当たりの次は人のせいですか?お前そんなんだと友達なくすぞ」
「余計な!!…はぁ…はぁ……お世話よ…!!」
フィリアはまた魔術を放とうと、残り少ない魔力を練り、手のひらに集めだした。
「あぁ、それ以上魔術は使うな」
アルバは魔術を放とうとするフィリアを止めようとそう言った。
その言葉には何故か少し心配の色が混ざっている。
しかしフィリア的には「無駄だからやめろ、下手くそ」という意味に聞こえ、怒りと共にさらに魔力を手のひらに集める。
「はぁ……余裕で…いられるのも…今の内よ…はぁ…次は…消し…ずみ……に…」
強気で喋っていたフィリアだが、さらに魔力を練った瞬間、手のひらの魔力が弾け飛び、全身の力が抜けて、フィリアは意識を手離した。
意識が無くなった身体はそのまま前に倒れ込もうとする。
「全く、だから止めろと言ったのに」
しかし、アルバがいつの間にか倒れ込んでくるフィリアの前に移動してきて、フィリアの身体を支える。
フィリアは全身から汗を掻いていて、ぐったりとしている。
「俺に用があったんじゃないのか?全く、言う前に暴れるだけ暴れて挙げ句の果ては気絶。なにがしたいんだよこいつは」
暴れたのはアルバにも責任があるのだが、そんなこと分かっている筈がないアルバはため息を吐くだけだった。
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