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「……………………」
「……悪い、余計なお世話だったか?」
少し俯いたまま何も言わないフィリアに、情けをかけると怒るタイプの人?と考えながら謝るアルバ。
しかしフィリアは、はっ、と顔を上げる。
「あ、いや、別にそういう訳じゃなくて、ただ…その……」
慌てた様子ですぐさま否定するフィリアだが、言葉の最後辺りから暗い表情になっていく。
「………ちょっと、考え事してただけ…」
そう言ってフィリアは自嘲気味に笑った。
「……そうか」
それっきり二人は何も言わず、少しの間沈黙が流れた。
「……そういえばお前何で俺を追いかけて来たんだ?」
「………え?……あぁ、あれね」
いきなりの質問に一瞬混乱したが、すぐに屋上のことだと分かった。
「あんたに用があったんだけど、誰かさんのせいで話す前に倒れちゃったのよ」
「お前のせいだな」
「………………」
無言で睨んでくるフィリアに「はいはい、俺が悪かった」と反省0の声で謝るアルバ。
文句の一つ二つ言ってやりたいフィリアだが、言うとまた話がそれるので我慢した。
「まぁいいわ。用件に戻るけど、あんた風紀委員に入る気はない?」
「ない」
「「……………………」」
先ほどより長めの沈黙が続いた。
「……あんたね、何で?とか何も聞かずに"ない"はないでしょ」
「ないものはない」
怒る前に呆れてしまうフィリアと、頑なに入ることを断るアルバ。
「あんた"特待生でもないのに風紀委員になれる"って意味わかってる?」
もったいない、と最後に付け加えながら呆れたため息を吐くフィリア。
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