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「断る」
「……………はぁ…」
アルバは手を握らない。
自分には必要ないと、言葉に表して。
そんなアルバに、そしてそう言うだろうと思ってしまった自分にため息を吐くフィリア。
「……何かあんたがどんな奴か分かってきたわ」
釈然(しゃくぜん)としないわねと言うフィリアだが、その顔は嫌な表情ではなく、とても楽しそうだった。
こいつのことを理解した、ただそれだけのことがとても嬉しく感じて。
「…………そうか」
アルバは座っていた椅子から立ち上がる。
「分からなくていいんだがな」
「え?」
アルバの言葉に疑問を抱いたフィリアだが、アルバはそれを無視して、カーテンを開けて出ていこうとする。
「ちょっ、ちょっとどこ行くのよ!?」
「帰るんだが、何か問題あるのか?」
「あるわよ!!まだ話は終わってない!!」
「何を言われても俺は入る気はない。それにあいつがいるから必要もないだろ」
「あいつ?あんた誰のこと言って…」
フィリアが問いただそうとしたところで遠くの方から「フィィィリアァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」と叫びながらこちらに向かっているだろうローズの声と、「ローズちょっとうるさい!!!静かに!!!」と大声でローズに怒鳴る声が扉の前で聞こえた。
それを聞いたフィリアは言葉を止め顔を真っ赤にする。
一つはローズが自分の名前を叫んでいる事にたいしての恥ずかしさと、もう一つはアコにアルバとの会話を聞かれていたことにたいしての恥ずかしさだった。
別にやましいことを話していた訳ではないが、何故だか妙に恥ずかしく、ほとんどその事にたいして顔を真っ赤に染めるフィリア。
そんなフィリアをみてアルバは小さく笑う。
「友達と彼氏が見舞いに来たみたいだな(一人は盗み聞きしてたみたいだが)。じゃあ俺は帰る」
「あっ!ちょっ…「あっ、それと」」
呼び止めようとしたが、その前にアルバによって遮られる。
「最初も言ったが俺とは関わるな………それだけだ」
その言葉に何か言おうとしたフィリアだが、それより早く「じゃあな」と言ってアルバは扉を開けて出ていった。
そのあとアルバはアコに呼び止められてしまい、その結果ローズと鉢合わせして一悶着あったとのこと。
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