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それを見たフィリアは、アルバに落胆してしまった。
アルバもさすがにヤバいと思ったのだろう。
何せフィリアの言う風紀委員の会長は、この学園に於(お)いて生徒会長と並ぶトップの実力を誇っており、誰もが知る存在だ。
当然アルバも知っているだろうし、いくら強いアルバでも相手が悪いすぎる。
きっとこれで大人しく教室に戻るだろう。
懸命な判断だ、だがフィリアは(こいつならこんな脅しじみたことに屈しないのでは?)と思っていたので、落胆してしまった。
そしてフィリアは自分の力じゃなく、会長という力を使うことでしか仕事をこなす事が出来なかった自分自身にも落胆してしまう。
「……そうか」
動きを止めていたアルバは、納得したように呟く。
「じゃあ行くか」
そう言ってアルバは立ち上がる。
その様子を少し沈んだ表情で見ていたフィリアだったが、
「クロノスなら殴りに行けばいいんだが……凪(なぎ)の頼みならしょうがないか…」
「………………………………………………………………は?」
鳩(はと)が豆鉄砲を食ったような顔になった。
「?。何が"は?"なんだ?」
アルバは事態が分かっていないので、ただただ疑問顔である。
「…………ちょっと待って………少し考えさせて……」
驚いた後もフィリアは、片手で頭を押さえてアルバの今の言葉を理解しようとしている。
「………よし、落ち着いた。ちょっと質問するけどいい?」
「俺の質問の答えは?」
「答えてくれたら分かるわよ」
なんて横暴な、とアルバは愚痴(ぐち)るが、フィリアは無視して質問をする。
「まず聞きたいんだけど、さっきあんたが言ってた人達って誰のこと?」
「?。なんだ、クロノスと凪って名前のやつが他にも居んのか?」
「そうじゃないわよ。ってことはやっぱりあんたが言ってる人って"タイタン生徒会長"と"霧生風紀委員長"のこと?」
「他に誰もいないと思うが?」
「じゃあ聞くけど、何であんたが会長たちのことを親しく名前で呼んでんのよ」
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