序章 親友からのお願いです

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 青海祭から一カ月。  来期の生徒会長を勤めることが決まり、12月23日と24日に行われる新旧生徒会役員による唯一の合同イベント、クリスマスパーティーの準備で忙しい俺、新山亮介(にいやまりょうすけ)の元に、親友(と書いてバカと読む)の久世裕二(くせゆうじ)が血相を変えて訴えてきた。 「頼む亮介っ! 協力してくれっ!」 「やだ」 「まだ内容も言ってないのに!?」  ご覧の通り俺は忙しいんだ。バカに構っている暇なんてない。 「生徒会長が生徒をないがしろにしていいのかよ」 「…………」  それを言われると弱い。  俺はあの日、弱い自分を変えていきたいと思い、この学園の生徒会長になった。  それなりに責任感はあるし、自分を変える為には目の前にある事柄から目を逸らしてはいけないとも考えている。 「……内容による」  気づけばそんなことを口走っていた。  目の前のバカは途端に笑顔になって、高らかに叫んだ。 「俺と楓ちゃんの仲を取り持ってくれ!」  
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