序章 親友からのお願いです

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 色々と言いたいことはあるが、まず、なぜそれを俺に頼む?  裕二の言う『楓ちゃん』というのは、同じクラスの女の子、咲崎楓(さきざきかえで)のことだ。  ショートに切りそろえた髪と独特な一人称が特徴的な女の子。  いつも明るくて、スポーツは大得意。その反面、本を読むのが大好きという意外な一面もある。こういうのなんて言うんだっけ、ギャップ萌え?  ――そんな咲崎に、裕二は恋をしている。これは一年の時から知っている事実だ。  俺は最近になって、咲崎とは大分仲良くなることができた。  裕二はそれを見越して俺にこんな頼み事をしている、それはわかるんだけど……  正直、『性欲バリバリ女の子に飢えてまーす』って感じのこいつと、友人の仲を取り持つってのは気が引ける。  というわけで俺の答えは…… 「お断りだ」 「そんなこと言わないでさー、頼むよ、一生のお願い!」 「また一生のお願いか、これで何回目だよ」  どんなに頼まれても、咲崎に迷惑がかかるのが目に見えている以上、俺は首を縦に振ることはできない。
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