序章 親友からのお願いです

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「おいおい、勘違いすんなよ。これもお前をいい男にする為の特訓なんだぜ」 「……これにどんな意味が?」 「いい男たるもの相手が今なにを欲しているのか、どんなことをしてほしいのか瞬時に判断して行動できなきゃダメだ」 「まぁ……一理あるな」 「だろ、そこで思い出してくれ。俺はただ『ジュースを買って来い』としか言わなかった。つまり――」 「亮介が飲みたいものを察して洞察力を向上する訓練ってことか!」 「そういうことだ」  裕二ってどうしてこんなに扱いやすいんだろう。  このままだと将来間違いなく悪女に騙されて破産するだろう。  今のうちに修正してやらなきゃいけないのかもしれないけど、面白いからこのままだ。 「それじゃ、ちょっくら行ってくるぜっ!」  自分が騙されているとも知らず、わざわざ走って自販機に向かう裕二。  ああ、楽しいなこれ。
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