現実

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翌日・・ 昼前に猛の携帯が鳴り響いた。 着信の所には親方の名前が記されていた。 一気にテンションが上がったが、逸る気持ちを抑えるように冷静に電話をとった。 猛:「親方・・ ご無沙汰してます。 どないですか、体調の方は? 二ヶ月も連絡ないし、えらい心配しましたよ?」 逸る気持ちは抑えきれず、言葉は口からポンポンポンと飛び出していた。 「高橋猛さんですか? こちら、N病院ですけど」 それは、30代か40代の女性の声であった。 しごく業務的な対応が印象的であった。 猛:「は、、、はい」 女:「山川さんより携帯を預かっておりまして・・ 高橋さんより着信があったら用件を必ず聞いててくれって言われてまして・・」 猛:「ちょ・・ちょっと待ってくれっ!! 状況が飲み込めへん。 何でや! 何で親方は電話に出れんねやっ!!」 女:「その質問にはお答えできません 山川さんよりお願いされてますので用件をお伝え下さい」 猛:「待てやっ!! 聞かれへんってどういうこっちゃねんっ!!」 女:「・・・・・・」 猛:「もしもし? もしもし??」 女:「用件をお願いします」 猛:「せやから、親方はどないな状況やねんっ!! それを聞くのが用件やっ!!」 女:「その件に関してはご親族さんの証明がない限りお答えできません」
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