現実

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5分程待っただろうか? 婦長は足早に猛の方へとやってきた。 その顔は何かを決意したような、そんな表情をしているように写った。 婦長:「高橋さん・・・ お待たせしました」 軽く会釈をし、婦長はそう言った。 猛の眼を見て、すぐに視線を反らし猛の横へと、腰をおろした。 猛:「婦長さん・・・ 隠さんと全部話してくれんか?」 婦長:「・・・・・・ええ」 猛:「親方は今、どないな状況なんですか? 2ヶ月も連絡ないって事は普通の状況やないって事は覚悟してますから」 婦長:「高橋さん・・・ 山川さんはね? 肺癌と喉頭癌が見つかってね?」 猛:「難しい事は分かりません。 その病気は直るんでしょ? 親方はそう言うて病院に行ったんや。 嘘は付かんて約束してくれたんや」 婦長:「そんな楽観視できる程甘い病気じゃありません! でもね? 幸いにも転移はなく、手術は成功したわ」
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