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扉を開け、兵頭の眼に飛び込んだ風景は自分の視覚を疑うものであった。
兵頭:「お、、、おやかた・・」
その言葉は驚き以外からは絶対出てこない言葉であった。
親方は兵頭の姿を目の当たりにし、少し驚いたような表情をしたが、表情は戻り笑顔で頷いた。
猛:「親父・・
リョウさんも心配してるんや。
早よ身体治して、仕事に復帰せな・・」
兵頭:「たけし・・」
覚悟はしていた。
していたけど・・・
その現実はあまりに受け入れ難いものであった。
尊敬する親方は、見る影もなくやせ細り、別人のようになっていた。
袈裟衣で覆われた身体から、龍の刺青が寂しそうに天へ行きたがってるように写った。
兵頭:「親方・・
俺は信じてます。
親方が・・
親方が元気な姿で復帰してくれる事を・・」
猛:「当然や。
親父がこんな所で挫けるはずあれへんやん。
俺の親父はこの世でいっちゃん強い人やねん。
俺のいっちゃんの自慢やねん!」
猛の眼には涙が浮かんでいた。
親方の目にも涙が浮かんでいた。
そんな二人を見て、兵頭もまた隠す事なく涙を流した・・。
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