現実

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猛:「親父・・ また、日本酒一緒に飲みたいな? 今度は朝まで付き合うわ。 絶対潰したるからな?」 親方:「・・・・・」 親方が小さく頷き、悔しそうな表情をした。 まるで、俺はもう助からんって言いたいかのような表情をした。 もう、自分の身体やなかったんやろう・・ 何もかもが思い通りにならんイラだちが募っているんだろう。 その感情を俺らみたいに【何か】にぶつける事も出来ず、ただもがいてるように見えて、悔しかった・・ 猛:「親父・・・」 (その苦しみ、少し俺に分けてくれやっ!!) 猛はいつもそう思っていた。 病院に行き、帰路に着く度に、とめどない悔しさに襲われた。 そんな最中、病室の扉が開き、先生と看護婦が部屋に入ってきた。 検診とガチ合うのは、意外に初めてで、ただ黙ってその風景を窓側にもたれ掛かり眺めていた。 「失礼ですが、あなたが猛君?」 先生は猛の方を眺めながらそう呟いた。
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