現実

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猛:「はい・・」 先生:「今日ちょっと時間空けれるかな?」 猛:「はぁ?」 いきなり何やねん、このおっさん・・ 失礼やけどそう思った。 思わず、親方の方を向き顔を見てしまっていた。 親方は小さく頷いていた。 その頷きの意味を理解するのに時間は要らなかった。 先生:「いきなり何やねんって思ったやろ? 私は山川さんの主治医をしてる木下です。 山川さんとは30年来の付き合いでね・・ 長い付き合いやのに、病院には一切近づかん人でね。 山川さんは病院が大嫌いやからね~」 そう説明をして声を出して笑いだした。 猛:「30年来っすか!? そらまた古い付き合いなんすね~」 木下:「山川さんは僕の恩師みたいなもんなんですわ。 僕は山川さんのお陰でこうして医者になる事が出来たんですわ」 猛:「そうですか・・ それより、何で俺の名前をご存知やったんですか?」 木下:「山川さんから何度も聞いてるからね? 猛君の話をする時の山川さんは目の色がちゃうから」 猛:「・・・ほうですか」 木下:「山川さんの悪口でも言うて盛り上がらんか?」 木下は笑いながらそう言った。 親方も木下のその冗談を聞き、微笑んでいた。 猛:「分かりました」 木下と言う人間、軽い印象にも関わらず鋭い目線を投げ掛けてくる・・
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