現実

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その場で木下と別れ、その日はあえて親方の顔を見る事なく、帰路についた。 親方の思い出話を夢中になって聞けたお陰で、気持ちが楽になれた。 悪くばっかり考えていても良い事は何もないから。 その帰り、見舞いに来ていた兵頭とマサカズがロビーで待っていたので、一緒に戻る事になった。 久しぶりに落ち着いた気持ちになり、二人にも今日の親父の【武勇伝】を話し、和ませた。 兵頭の車に乗り込み、ひとまず会社に戻り、残務を軽く終わらせ、軽く飲みに行くつもりでいた。 さすがにこれだけ長い間、何の音沙汰もない状況に加え、事実上現状の会社を切り盛りしている猛が毎日のように夕方抜け出す状況に、良からぬ噂は流れ始めていた。 それでも、親父のプライドに掛けて絶対に他言はしなかった。 弱い所は絶対に見せたくない。 それが親父のプライドやから。 仕事を終わらせ、外で休憩していた兵頭とマサカズと3人で近所の居酒屋へ移動する最中・・ あり得ない事態が起きたのであった。
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