現実

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頭を抱え苦悶する兵頭を横目にし、隊員は思い至る事があった。 隊員:「そんなに考え込まないで・・・ 大丈夫やから。 今は彼の生命力を信じるしかないんや」 兵頭:「分かってます」 虚ろな目になりながらも、必死になり壊れかけた気力をつなぎ止めた。 暫くして、救急車が止まり病院に到着した。 後ろの扉が開き、勢いよく猛を乗せた担架が車から下ろされた。 続いて地へと降り立った兵頭はその風景に驚きを隠せずにいた。 (ここ親方の居る病院やないかい・・・) 数多くある病院の中からここが選ばれたのはただの偶然なんか・・・ それとも・・・ そして有り得ない偶然は更に重なった・・・ 救急入り口に運ばれた猛は痛々しい姿で治療室まで運ばれた。 途中て救急隊員に状況を確認し現状を把握した医者は小さく頷き、患者の顔を見て絶句した・・・ 医者:「た、、たけしくん? そんなアホな・・・ 昼間あんなに元気に語りあったばっかやないか・・ 別れてからの数時間で何があったんや??」 気が動転している彼は親方の主治医である木下だった。
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