現実

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一方、突然の電話を受け、衝撃的な事実を聞かされた咲・・・ 不安で押し潰されそうになりながらも、ただ兵藤からの連絡を待ち続けていた。 わずかな時間が果てしなく長く感じた。 全く状況がわからない。 ウチは待つだけしかできないの? だんだんイライラが募ってきた。 (もしかしたら・・・ ミナさんなら知ってるかも) ふとそんな期待が頭を過った。 ミナのポケベルを鳴らし連絡を待った。 ミナからはすぐに連絡があった。 ミナ:「あっ、咲ちゃん? 猛君いる?」 咲:「え? お兄ちゃんは・・・・・・」 ミナのその一言で全てを悟った。 ミナは何も知らない・・・・ と。 咲:「ミナさん? ポケベル鳴らしたのウチやねん・・・」 ミナ:「そうやったんや~ ゴメンね? で、どしたの咲ちゃん?」 咲:「ごめんなさい・・・ 何もないねん・・・」 ミナにまで不安を与えたらあかん。 そう自分に言い聞かせた。 ミナ:「何があったの? 咲ちゃんの悩みは私の悩みやねんから。 何でも話してよ」 咲:「ミナさん・・・・」 その優しさが辛かった。 その優しさが逆に不安を増長させた。
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