現実

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その優しさが不安を増長させ、何もわからないのに涙が吹き出した。 咲:「グスン・・・ ミナさんゴメン・・・ お兄ちゃんが・・・ お兄ちゃんの身に何かあったみたい・・・」 何も分からない状況でどう説明すれば良いか混乱しながら言葉を並べた。 ミナ:「・・・・・・・・・・え?」 突然聞かされた現実に頭の中が真っ白になった。 ミナ:「咲ちゃん? 分からないよ・・・ 何がどうなったの? 猛君は今どこにいるの?」 混乱と混沌の中、最愛の人の安否だけが気になっていた。 咲:「分からない・・・・ 何も分からないの・・・」 その言葉をミナに伝えるのが精一杯だった。 それ以上の言葉は涙が邪魔して出てこなかった。 ミナ:「咲ちゃん、落ち着こう? すぐ・・・・ 今すぐ家行くから・・」 何も余裕なんかなかったけど、泣き崩れる咲を電話先で感じ、冷静に諭した。 受話器を置きミナは準備も儘ならない状況で家を飛び出した。
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