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猛の手術が始まり、ただ呆然と目線の上に輝く赤い点灯を見続けた。
目線はそっちを向いてるのだが、記憶は全くない。
自分が今どこで何をしてるのかさえ、考えなくては分からない状況であった。
(猛・・・猛・・・頼む・・)
あれから、どれだけ時間が経ったのだろうか?
時間の動きすら分からずただ、好転する事を祈っていた。
ふと、携帯を眺め一つの事が頭を過ぎった。
(心配してるんは俺だけやないやないか・・・)
そう思った途端に、咲の顔が脳裏を過ぎったのであった。
先程、血液型を確認する為、中途半端な事を伝えたままだと思い出した兵頭は、あわてて猛の家へと電話を入れた。
電話は1コール鳴る手前で繋がった。
咲:「もしもし!!
もしもし!!!」
その焦り散らし、不安の限界かのような言葉に兵頭は現実を見たのだった。
兵頭:「咲ちゃん、さっきはすまん・・・」
咲:「リョウさん!!!
リョウさん!!!!
お兄ちゃんに何があったの?
ねえ?
教えて下さい、お願いします」
その焦りだけで並べられた言葉に余裕なんて全くなかった。
兵頭:「咲ちゃん・・
お兄ちゃんな?
ちょっとトラブルに巻き込まれてしもてな・・・今、病院で手術受けてるとこやねん・・」
咲:「えっ????
しゅ・・じゅつ・・ですか?」
その瞬間、咲の目の前は真っ白になっていた。
兵頭:「N病院や・・
今すぐ出てこれるか?」
咲:「・・・・・・・」
兵頭:「咲ちゃん聞こえてるか?」
咲:「え・・あ・・・・
うん」
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