現実

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女:「大きくなって・・」 猛:「はははは・・・ オカンか? どないしたんや、今更戻ってきたんか?」 オカン:「ううん・・ 私は猛にも咲にも会わす顔ないわよ。 でも、うれしいわ。 こうやって立派に成長してくれて・・母さん何よりや・・」 猛:「会わす顔ないて・・ 今こうやって会いに来てるやん・・ 変な事言いよるな」 オカン:「そうやね・・ ごめんなさい。 ホンマにごめんなさい。 母さんは一度たりともあんたら二人の事は忘れた事ないよ?」 猛:「よう言うわ。 そんな事言うんやったら、何で助けてくれんかったんや?」 少し感情的になり、オカンを責めた。 オカン:「会いたくても会えなかったの・・・」 猛:「何でやねん・・そんなん言い訳や」 オカン:「・・そうだね」 猛:「まあええわ。 もう終わった話やもんな。 それよか、元気にしてるんか?」 オカン:「・・・・・・・」 猛:「何黙ってるねん」 オカン:「猛、ありがとう・・ あんたは今から頑張らなあかんねんで?」 オカンはそう口を開くと、後ろへ振り向き、足早に立ち去った。 猛:「どこ行くんや? なあ? どこ行くんやって!!」 どんだけ叫んでもオカンは振り返る事はなかった。
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