現実

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木下:「うん。 まだまだ猛君は未完成やと思ってたみたいや。 そんな状況で、成長を止める訳にいかんて・・な?」 兵頭:「なるほど・・・ 猛はまだまだ成長するて・・・・ 親方はそう確信してたんですね」 兵頭は木下の話を聞き入れ、親方をもってして今なお成長途上やと言わしめる猛の才能に改めて惚れ込んでいた。 この先・・・ 成長を遂げたその先にいるであろう猛をこの眼で見たい・・・ そんな感情に駈られていたのだった。 兵頭は未だに意識の戻らない猛へ視線を戻し、小声でつぶやいた。 兵頭:「猛・・・・ やっぱりお前はこんなとこでくたばるタマやないわ・・・ まだまだ上のステージへ行かなあかんねやぞ? 俺は今日、心底お前について行きたいって、そう思った。 これからも、お前に振りかかる火の粉は俺が全力で振り払ったる・・・」 その呟いた内容には兵頭の並々ならぬ決意が込められていたのだった。
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