3402人が本棚に入れています
本棚に追加
親方の病室へ到着し、無言で扉を開けた。
そこには変わらずヤツれた親方がベッドに横たわっていた。
いや・・・
変わらずというのは言葉の意味が違う。
もう、誰が入ってきても、その存在を目で追う事も出来ずただ横たわってるだけ・・・
もう、意識がなかった。
木下:「もう・・目を開けてくれんねや・・」
兵頭:「くっっ・・」
兵頭はコブシを握り締め、自分の甘さを後悔していた。
木下:「猛君が、何も恩返ししてへんって泣いてたけど・・
恩返し出来てへんのは、僕も同じです・・」
涙を浮かべて呟いた。
兵頭:「俺もです・・」
(何も・・親方に何もしてやれんかった。
俺はホンマ親方に助けられた・・・
親方・・猛の事は俺が・・
俺が必ず守ります。)
もう意識のない親方に対して、兵頭は心に誓った。
木下:「何でやろうな・・
何で山川さんがこんな目に合わなあかんねや・・
俺にもっと力があったらな~
山川さんにかわいがってもろてここまで生きてこれたのにな~
俺は中途半端なままやわ」
誰に目線を合わすでもなく、木下はそう呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!