現実

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親方の病室へ到着し、無言で扉を開けた。 そこには変わらずヤツれた親方がベッドに横たわっていた。 いや・・・ 変わらずというのは言葉の意味が違う。 もう、誰が入ってきても、その存在を目で追う事も出来ずただ横たわってるだけ・・・ もう、意識がなかった。 木下:「もう・・目を開けてくれんねや・・」 兵頭:「くっっ・・」 兵頭はコブシを握り締め、自分の甘さを後悔していた。 木下:「猛君が、何も恩返ししてへんって泣いてたけど・・ 恩返し出来てへんのは、僕も同じです・・」 涙を浮かべて呟いた。 兵頭:「俺もです・・」 (何も・・親方に何もしてやれんかった。  俺はホンマ親方に助けられた・・・ 親方・・猛の事は俺が・・ 俺が必ず守ります。) もう意識のない親方に対して、兵頭は心に誓った。 木下:「何でやろうな・・ 何で山川さんがこんな目に合わなあかんねや・・ 俺にもっと力があったらな~ 山川さんにかわいがってもろてここまで生きてこれたのにな~ 俺は中途半端なままやわ」 誰に目線を合わすでもなく、木下はそう呟いた。
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