現実

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猛の意識が戻らない事・・ それ以上に衝撃的な事・・ そんな重なってはいけない現実が三人に襲い掛かっていた。 抑えようのない悲しみに支配されていた。 泣き崩れる咲を筆頭に、取り戻せない現実を悔いていた・・・ そんな空気のなか、気丈を装った木下が猛の部屋を訪れた。 木下は兵頭と目線を合わすと小さく会釈をし、猛の方向へと歩を進めた。 木下:「猛君・・ すまん・・ 君との約束守れなんだ・・ 僕は・・ 裏切り者や・・」 歯切れの悪い渇舌で、そう呟き猛の容態を確認した木下は、そのまま無言で病室から姿を消した。 そのうしろ姿は小刻みに震えていた。 そんな木下を親方が一押ししてくれてるんやなと・・ 兵頭はそう感じていた。 (猛・・はよ戻って来てくれ。希望を・・俺らに希望を与えてくれ。 このままやと潰れてしまうわ・・・) しばらくの時が流れ、そんな兵頭の気持ちに答えるように、希望の花が開こうとしていた・・ 兵頭:「猛・・・」 猛:「ん・・・?」 ミナ:「えっっ?」 咲:「お兄ちゃん?」 その瞬間、空気が別のモノに変わるのが手に取るように分かった・・。
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