現実

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猛:「ここどこや・・?」 ミナ:「たけしくん・・」 猛:「ミナ・・どないしたんや?」 咲:「どないしたやないわっ!! どんだけ心配した思ってるんよ!!」 さっきまでの涙がまだ残るなか精一杯の咲なりの労いを猛にぶつけた。 猛:「咲・・・  お前泣いてるんか?」 咲:「泣いてへんわっ!」 親方の事を今、この状況で口にする事に戸惑いがあった。 いや・・ とてもやないけど、その事だけは言えない・・・ 猛が知ってしまったら、そのショックは計り知れないモノに違いない。 それだけ、猛にとって親方の存在は絶対やった・・ それは妹の目から見ても明らかであった。 兵頭:「猛・・」 猛:「リョウさん・・? あれ? 俺、リョウさんとマサカズと・・・ そうか、あのアホに俺は・・・・・」 兵頭:「嫌な事思い出させてしもたな・・?」 そう言葉を搾り出す兵頭の眼を見て、違和感を感じた猛が口を開いた。 猛:「リョウさん・・どないしたんですか? 眼が・・ 何かあったんですか?」 兵頭:「・・・・いや」 同じく兵頭も、その事実を口にする事が出来なかった。 ただ、その現実から逃げたかっただけやったのかも知れない。
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