現実

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猛:「つぅ・・・」 顔をしかめながら、猛が唸っていた。 兵頭:「無理したらあかん・・ 出血が多くて、結構ヤバい状況やったんやぞ、お前・・」 猛:「・・・そうっすか」 うっすらと記憶が蘇って来つつあった。 やけど、それ以上に鼓動と共に襲う痛みの方が数段上であった。 兵頭:「当分、動かれへんわ・・安静にせな」 猛:「なんか・・長い夢を見てました。 ずっと同じ夢を見てる感じやった・・」 ミナ:「夢?」 猛:「ああ・・何で今更なんやろうな? オカンが出てきた。 それと親方と・・」 少し遠い目になり、猛はそう呟いた。 【親方】という言葉が猛の口からこぼれるや否や、三人の表情が変わった・・ 猛:「あれは夢やったんやな・・ やけど、めっちゃ久しぶりにオカンと話した。 何も変わってなかったわ・・ ちゅうか、親方が元気に歩いて俺と会話してくれたんや・・ それだけでも、希望が持てる夢やったわ」 薄ら笑いを浮かべながら、猛は呟いた。 猛のその言葉に対して、兵頭は返す言葉が見つからなかった。 どないして、伝えればええんや・・・・ そんな雰囲気に気がついたのか、はたまたただの偶然やったのか・・ 猛:「リョウさん・・ 親方はどないですか・・ 変わりありませんか?」
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