現実

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兵頭:「お前が何て言おうが、この手は放さん!! 今、ここで無理してお前に何かあったら・・俺らはどないする!! 俺らはどないして生きていけばええんじゃっ!!」 兵頭の全霊を込めた言葉が猛の胸に突き刺さった。 猛:「くっ・・・」 猛の身体から力が抜けていくのが分かった。 そのボロボロの身体を兵頭に預け、猛は言葉を続けた。 猛:「リョウさん・・何でなんや・・ 何で親方がこんな目に合うんや・・ 俺は・・ 俺は・・ これからどないして生きていけばええねん・・」 身体を小刻みに震わせ、消えるような声で、猛が呟いた。 兵頭の背中に猛の涙が流れ落ちた。 兵頭:「たけし・・・」 咲:「ウッウッウッ・・・ お兄ちゃん」 ミナ:「・・・・グスン」 咲とミナのすすり泣く声が辺りを支配する中、兵頭に身体を預けていた猛の右手に力が篭っていた。 その右手は兵頭のシャツを力一杯握り締め、やり場のない悲しみを、そこから流しているようであった。 兵頭は、そんな猛を再度ベッドへ移動させ、口を開いた。 兵頭:「親方はな? 最後は意識が戻らんままやったけどな・・ 最後まで猛の事を思ってたと思う。 お前の事を一番に考えてた」 猛:「・・・・・・・」 猛は無言でその言葉を受け流し虚ろな眼で遠くを見ていた。 そして・・ 誰に言うでもなく、 猛:「親方に会いたいな・・」 そう呟いた。
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