現実

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何をするにも、いつも親方が側にいた。 何度、親方に助けられた事か・・ リョウさんと揉めた時・・ 喜一がやられて・・見境なしに喧嘩をしてしまった。 親方に助けられたから、今があるのかも知れない。 ミナが犯されたあの日・・ 俺は我を失った。 あの時、親方が止めてくれんかったら、俺は人を殺めてたかも知れない・・ 初めて、自分が怖いって思った・・・。 親方に育てられ、自分が変わっていくのが手に取るように分かった。 人って、こんな感情を抱くもんなんや・・・ 人に愛されるって、こんな感情なんや・・・ 人を愛するってこんな気持ちなんや・・・・ 少しづつやけど、心に余裕が出来た。 それは、間違いなく親方が与えてくれたもの。 俺という人間に足りないもの・・それが心の余裕なんやって・・・ 親方は言うてくれた。 【それ】を持てた時、自分が大きく羽ばたいた・・ そんな気になった。
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